術前検査編 MRI検査 〜 親知らずの抜歯の体験談【第6話】

初めて親知らずの抜歯を経験する方向けに役立てたい。親知らずの抜歯の体験談の実録・第6話。
「術前検査編 MRI検査」の巻。
[この記事の公開日:2021/1/12]
※第5話の記事はこちらから 術前検査編 血圧を測る 親知らずの抜歯の体験談【第5話】
前回まで(第4話)のあらすじ
大病院にて「親知らずの抜歯手術」に臨む筆者。
抜歯しようとしている親知らずの場所は、左下の口腔奥。
状況は「歯茎に完全に埋没」かつ「手術によっては神経を傷つけて障害が残る」という、高難易度かつリスキーな手術。
そこで、大病院のドクターから「手術可能な体質かどうか。それから歯の詳しい状況。この2つを術前検査を通じて詳しく調べましょう」と提案を受ける。
筆者がオーダーされた術前検査は「1.採血(処置室)、2.MRI検査(MRI室)、3.レントゲン(X線撮影室)、4.生理検査室、5.歯科診断」の5工程。
各施設を回り、順番に検査を受ける。
術前検査のうち処置室で「血圧の測定と採血(血液検査)」を無事済ませ、次は「MRI検査」へ。
貧血と立ち眩みに気を使いながら、MRI室へ
処置室での「血圧の測定と採血」を無事に済ませ、診察券が入ったクリアファイル(術前検査のカルテや手順がまとめられている)を受け取る。
看護師さんから、次の術前検査先の「MRI室」を案内される。
MRI室までは200mくらいの距離。
処置室からMRI室までの壁面には、手すりがある。手すりの高さは女性の腰から下くらい。
貧血と立ち眩みに気を使いながら、ゆっくりと向かう。※筆者は結構な低血圧体質
手すりを使いたかったが、コロナ禍のこともあり、ためらわれた。
「感染するリスクがある、感染させるリスクがある」そういう発想よりも先に、「遠慮しなければ」と行動が反射する。
「この先コロナに対して、どんな良し悪しのバランス感覚で、行動を決めていくのが正解なのだろうか」
廊下を歩きながら、漠然と考える。
ただ、目を閉じて、事が過ぎ去るのを待つ
(処置室での採血は、試験管3本くらい血をとられただろうか…)
注射が苦手な筆者は、針を刺す瞬間から抜かれるまで、その一切を見ていない。
(ひたすらに目をつむり、頭の中で好きな音楽を歌い、ただ事が過ぎ去るのを待つ)
注射が苦手な人向けに、筆者なりの役立つ情報はこのくらいのものだ…。
廊下の先にひとまずのMRI室が見える。
親知らずの抜歯で、MRI検査とは大げさな…
MRI室につく。
大病院の玄関からほど近い場所にMRI室はあった。併設してCT室も。
急患が救急車で搬入されたとき、スキャンしやすいようにだろうかと考える。
MRI室の受付に、クリアファイルを提出する。
名前を呼ばれるのを待ちながら「親知らずの抜歯で、MRI検査とは大げさな…」と、正直思ってはいた。
ところで、MRI検査とはどんな検査なのでしょうか?
また、よく似た検査にCT検査がありますが、MRI検査とCT検査は違うものなのでしょうか?
簡単にわかりやすくまとめて解説します。
MRIとCTの違い
結論から言えば、MRIもCTも「患者さんのからだの内部を撮影する検査(のための機械)」です。
MRIとCTの大きな違いは、下記の3つを抑えておけば「あれ、どっちの検査だったっけ?」という風に混同しないです。
(1) 好きな角度で撮影できるのは、MRI。横1方向だけの撮影はCT。
・MRIは、「好きな角度で」患者さんの断面図(内部)を撮影できる。
・CTは、原則「横1方向だけ(輪切りのような)」の断面図を撮影する。
(2) CTは「X線」で撮影する = 撮影は「短時間」。手早い状況把握に向く。
・CTの撮影原理は「X線」。健康診断などでなじみのある「レントゲン」も同じ「X線」で、CTの仲間。
・「X線」は長時間あびると「被ばく」の原因となる為、撮影は10~15分程度の「短時間」が原則。
・出血や骨折を「短時間で手早く撮影できる」CTやレントゲンは、急患や突発事故など「緊急性」が求められる時に活躍する。
・弱点は「写真のコントラストがあまり良くない」「水と気泡など、色のない物体の区別が付きづらい」などの点、前述した「横1方向だけ」の1方向撮影となる点、などから、精密な検査(撮影)がMRIに比べてできないこと。
・精密検査は「CTで概要を把握し、MRIで詳細を調べる」といった検査の流れになる。
(3) MRIは「磁気」で撮影する = 「長時間」撮影が可能。じっくり精密検査に向く。
・MRIの撮影原理は「磁気(磁場と電波の共鳴)」によるもので、被ばくのリスクがないとされている。
・そのため、CTに比べて倍程度(30分)の「長時間」の撮影が可能。また、CTと比べ「写真のコントラストが高い」「水や気泡など、色のない物体も把握できる」点も大きな特徴。これによって、例えば、血管に流れる血液の様子をじっくりと連続写真で撮影するなどの綿密な調査ができる。
・なお、前述のとおり、CTとの最も大きな違いは「好きな角度から体内(の断面図)を撮影できる」点、だと筆者は思う。
・CTと比べ、長時間かけて、いろいろな角度から写真が取れるので、MRIは脳や血管、骨や臓器の炎症と腫瘍の発見など、「精密検査」で活躍する。
MRI検査と閉所恐怖症
MRI検査では、受付から2分も待たず名前を呼ばれた。
患者の取り違えを防ぐために氏名をフルネームで応答し、入室する。
1名用ベッドの頭部分に、トンネルがついている。MRIだ。
ネイビーカラーの医療服の検査技師さんに、身長と体重を応答し、ベッドへ寝る。
技師さんは外へ。じゃ、撮影しまーすの声。明かりが消える。
「うぅいいいいいん」
電動歯ブラシのようなモーター音。トンネルが頭をすっぽりと包む。
何の漫画だったか、閉所恐怖症のキャラクターが目を固く閉じパニックに耐えている一コマを思い出す。
筆者はといえば、せっかくだからと目をあけたままMRI検査を受ける。
暗いトンネルの中は2,3個のモニター。枠と淵はなく、オレンジ色とグリーン色の英語文字が液晶の存在感もなく浮かんでは消える。
面白いなと思う。
撮影は5分程度で終了。
撮影時間は短かったが、閉所恐怖症の人は、(部屋の明かりが消えるのもあって)少しだけ怖いかもしれないと思った。
※不安な方は、ひとまず悩まずに技師さんに相談してしまうのが良いかもしれません。恐怖症は打ち明けると少し気が楽になるらしいですので…。
第6話 まとめ & 続きます
さて、実はこのMRI検査。
今回の「親知らずの抜歯手術」において、このMRI検査結果が後に重大な出来事となってきます。
結論から言ってしまうと、「抜歯でのMRI検査、すごく大事です。その歯、抜かなくても、よくなるかもしれません」。
次回へ続きます。
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